怪・霊神・罔像・厄とも書かれますが、江戸初期までは怪・怪士・霊神という字が多く使われていました。なお罔は水中での疫鬼溺鬼を指す文字で、古くから中国で使われていました。宝生太夫重友は「三ヶ月の中の小名なり船弁慶に用いる。かはうつほ文字也。あやしと言う事なり」といっていますが、あやかしの「か」は空(うつほ)、すなわち不要の文字であるというのです。あやしとは神代紀に「神光(あやしきひかり)海を照らし」とありますがそれは霊妙な威力がある、不思議であるとの意味ですから、三日月と同じように霊妙な神を表すと考えたものでしょう。事実、室町末期の面付けの「弓八幡」の頃に「観世には三ヶ月をきる、金春にあやかしをきる」とあって三日月と同様の面と考えられていました。

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