大国とも書き、丁寧には大黒天と言います。大黒はもと古代インドでは猛々しい戦闘神・鬼神を降伏させる守護神で怒りの相を示していましたが、日本に伝わってからは、音が似ているところから大国主命(おおくにぬしのみこと)と混同され、夷(えびす)と一対の福神となりました。その利益は夷(えびす)と双璧をなす七福神の一人です。狂言の大黒は想像している相貌と必ずしも一致しませんが、唇以外は黒色で、耳たぶの大きく垂れ下がっているのが特徴です。定式どおり、右手に小槌、左肩に大きな袋をもって、夷同様、参詣人や信仰する者に福を授けます。細長く開いた目に大きな鼻、大黒としての約束事を果たし大口を開け舌を見せて笑っている福相です。『夷大黒』(えびすだいこく)『大黒連歌』(だいこくれんが)『禰宜山伏』(ねぎやまぶし)に用いられます。

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