鼻に瘤状のある大悪尉という意味です。能面としては形も大きく、眼と眉の付根の「V」字状の筋肉の盛り上がりも、また額に脈瘤を見せていることなど大悪尉とそっくりの工作です。しかし下歯列が無く上唇に大きな金具の歯列が付けられ、鼻柱の隆起が真中で鍵の手に曲がり大悪尉よりゲルマン系の相貌を想起させます。舌も見せず口を半ば閉じ、その上下と顎にある多量の植毛が、それを一層強調しています。この面の事を「猿田彦太神宮の面様を表すとも云へり」として古代の神に結びつけたり、「鼻瘤之面、福来作。鼻瘤之事ハ白鬚重かけ候、白鬚大明神之御顔を打候由」とあって、能と神道との深い結びつきを示していました。

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