高貴な女性の嫉妬を表した面です。額の左右に金泥彩の色を植え、髪を振り分け、際から額、頬にかけて乱れ毛描き。眼いっぱいに金銅板を着せ、上瞼が覆い被さる。小鼻を広げ、口裂を大きくとり、金銅板をきかせた上下歯牙を表し、頬から顎にかけて肉を削ぎ落とし、大きく耳を作る。断ち切れぬ光源氏への思いに、本妻葵上に嫉妬の炎を焦がす六條御息所をシテとする『葵上』(あおいのうえ)には(白般若)、『紅葉狩』(もみじがり)『道成寺』(どうじょうじ)には(赤般若)、『黒塚』(くろづか)には(黒般若)を用います。

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