中将に似た面で、貴公子に用いられる。常盤御前の三人の子、今若・乙若・牛若の長兄の名から名付けられたと言われています。中将よりやや若めの憂愁さを持った貴公子として表現されています。 眉の付け根の皺の形とその位置が、中将の場合とやや異なっています。その皺は鼻の付け根の上から発して外向きに上方へ高く走り、額の中央部の皮膚につづいています。そしてこの線にかこまれた額の左右にある親指で押したようなくぼみ、中将より一層高く、また頭頂の冠型にくっつくほどに描かれた眉墨もなかなか特徴があります。こうした工作は、歯列が上下にありながら中将よりやや若めの優愁さをもった貴公子として、よく表現されています。この面は、中将とほとんど同様に用います。流儀によっては、中将を修羅物の公達に用い、今若を『女郎花』(おみなめし)『絃上』(けんじょう)『須磨源氏』『小塩』『雲林院』などに用いることもあります。

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