弱冠十六歳の敦盛は須磨の浦で花の命を散らした、平家の公家、敦盛を写したといわれ、多情多感な公家の面影が偲ばれる面。彩色は白く、いたって上品で女性と見間違う面だち、敦盛はその時に元服していたので、歯も眉も墨で染めています。『敦盛』(あつもり)の他に『生田敦盛』(いくたあつもり)『経政』(つねまさ)『知章』(ともあきら)等、年若の公家の役に用いられる面をかけると、一株の寂しさもあり、舞を本風とする幽玄の情趣に通い合うものがあります。

inserted by FC2 system