『鉄輪』(かなわ)の前ジテに用いる面です。夫の浮気を嫉妬して、その復讐に神に祈ります。この面は死んだ怨霊としての面でなく、実在のですから、嫉妬の為に憔悴しきって痩せ衰え、眼の周囲が陥没して頬骨が突き出て、年もふけて見えます。しかし、眼が細く目尻がやや吊気味ですから、中入前の恐ろしい興奮状態を表現するには都合の良い面です。時に『藤戸』(ふじと)の前ジテに用いて脇に迫る凄味を見せる事もあります。

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