能面打の双璧である柔らかき面の名手石川竜右衛門重政の打ったもっともすぐれた小面です。太閤秀吉は竜右衛門作の小面を三面愛蔵してこれに雪月花の銘を与えた。そうして自分の能楽の師であった今春岌蓮(きゅうれん)に雪の小面を与え、ともに能を舞ったこともある徳川家康に月を贈り、花の小面は金剛座の大夫に賜った。花は前金剛宗家まで蓮綿と伝えられたが今は、三井家に蔵せられている。秀吉が特に雪月花と名づけたことは、この三面が竜右衛門作中のよりぬきであったことが十分首肯できます。それ以来雪月花の小面は、小面の権威として能面界にその王座を占めたのです。出目家の代々が模作した小面の手本はことごとくこの三面です。

非常におおらかで、華やかな面立ち。

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