増髪は十寸髪とも書き、神社における神体の十寸鏡(ますかがみ)との関連から、この名称が付き女神の面と云われています。増女の気品に神性と狂気が加味され、憑かれた様な相で、眉間の皺とその上にある二つのくぼみが特徴です。神楽を舞って恍惚感に浸る活動的な女神や巫女に相応しく、この面が神秘性をおびた面である事を表現しています。『巻絹』(まきぎぬ)『絵馬』(えま)『三輪』(みわ)の女神役や神霊の乗り移る巫女役、または『浮舟』(うきふね)『玉葛』(たまかづら)などの狂乱物にも用いられます。

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