観世流に伝わる名物面で、額の裏に大きな三日月の流線が掘り込まれている事から銘が付いたと云われています。神性を帯びた超人的な霊の相貌で全体に赤味がかった肉色で眼には鍍金した金環をはめ、朱をさす頬がそげ、毛描きの眉・髭は跳ね上げより力強い。『高砂』(たかさご)『弓八幡』(ゆみやわた)『養老』(ようろう)など神体に使われていましたが、今では邯鄲男を主用するようになり、特殊演出の脇能物の替え面として、むしろ『船弁慶』(ふなべんけい)の後ジテ、平知盛の怨霊に使われる方が有名です。

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