『石橋』(しゃっきょう)一番に使う獅子の面です。日本の獅子舞は中国から伝来した伎楽の一つで、特に鎌倉時代以降は民間芸能として流行し、田楽・猿楽も獅子面に影響されました。ただ中国から入った獅子舞は獅子頭を付けた布製の胴体に二人以上が入って舞うもので、現在も神寺の祭礼などで見ることが出来ます。能曲『石橋』(しゃっきょう)は、それらの獅子舞とは同一視する事は出来ません。中国の仏教説話に題材を置いていますが、能曲の様式的・日本的感覚に象徴化され絢爛豪華な獅子舞と成りました。扮装は赤頭に法被半切ですが激しい舞をするので法被の両神を折り込んで着るのです。二人以上の獅子が登場する特殊演出となると、親子の獅子を表し、大獅子には白頭を着けた獅子口の面、小振りな小獅子には赤頭を着けた顰を使う事もあります。

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