死霊の面である霊女は一見血の通った知的な女性の様に見られ、気品すら感じさせますが、眼には金具をはめ、口元には金泥の歯を見せ、目尻を吊上げ、口端を下げているので、恨みの相を表しています。霊とは霊魂の事で、特に能の場合には生霊(生きながら霊魂が肉体から離れ、恨みのある人に取り付いて悩ますもの)死霊(死んだ人の霊魂が生きた姿を得て悩ますもの)といって、生きている人や死んだ人の「たたり」の魂をさします。痩女と同様、女性の執心を主題とした『砧』(きぬた)『定家』(ていか)などに用いられます。

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