『蝉丸』 は狂乱物のツレにかける面です。蝉丸は、延喜の帝の皇子でありながら、幼少の頃よりの不幸な盲目。弱法師より高い品位をもって表現されています。弱法師にみられる額全体の乱れた毛描きもなく、鬢に毛をわずかばかり乱しているだけです。それに眉毛の描き方も先端をややはね上げ、頭部には冠型もあり、高貴な少年でることを強調しています。弱法師・景清など、盲目の能面は、眼の形全体をくりぬく為、視野が広く面をあてたときに、眼球だけくりぬいた普通の面より外がよく見えます。

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