室町末期の面作者真角の創作による怪士系の面です。おもに金春・金剛の二流が用いていましたが、江戸初期の頃からはとくに金春流が好んで使っています。黄土彩色で、口元は上下のたくましい歯列と立派な口髭を揃えています。額の皺や眉間の小皺も、他の怪士系の面にはない特徴となっていますが、最も大きく異なっているのは、冠型のない額の上部とこめかみに彫り出された筋状の静脈瘤でしょう。金春流では、この面を武将の亡霊だけでなく、漁夫や漁師など庶民の幽霊にも使います。

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