この面は古くから多賀とも崇神とも書きました。「本説には三ヶ月・神容の類にして、高砂の面たる故に尊と言う。尊・鷹・音相通なる故なり猶、三日月の中少名成るべし」とありますように、一種の神体の面です。上瞼の緑の中央部が著しく持ち上がっている為、眼が三角状に吊上がっていて文字通り猛禽類・鳥類の中で最も鋭い鷹を想像させるものがあります。彩色は三日月の鋭さをもう一つ誇張したように、茶褐色です。しかめた眉間の筋肉の皺状と口を大きく開いて赤い舌を見せている事、また三日月には無い大きな耳を持っている事と、冠型の無いのがこの面の特徴と言えるでしょう。単に鷹とも言うが性格の大きさ強さによって「大鷹」「小鷹」と区別します。造作上の違いは大鷹には耳があり、小鷹には耳がありません。また大鷹のこめかみには血脈はありませんが、小鷹のこめかみには血脈の筋が大きく浮き出ています。

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