江戸初期観世大夫が名工とうたわれた河内家重に創作されたと云われています。小面の可憐さと、増女の品位・知性の中間の表情をもつ面。観世流では、鬘物をはじめ若い女性の役にもっとも幅広く用いられています。いわゆる三番目物といって、若い女性を主人公とする幽玄本位の曲目に用いられますが、各流それぞれ異なり、宝生流では節木増、金剛流では孫次郎、金春流では小面、観世流では若女を使います。眼・鼻・口が全体に下がっている為、顎がやや小さく頬のふくらみも少ない。成熟した女性美、男性との深いかかわりを感じさせる色気は、『静御前』『千手』などに相応しいものです。

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