この面は『山姥』1曲のみに使う専用面です。衆生を愛し四季の風景をめでながら山回りするところは、山に棲む年闌けた妖怪・鬼女あるいは仙女とも考えられます。女性が年をとって姥・老女になったものとちがい、眼には金具をはめ、歯にも金泥が塗られた力強い相貌で、超自然的な存在である事を強調しています。専用面とはいえ、山姥には様々な造形があり、作者の創意工夫を比較的自由に表現したものが多い。面白い事に、この面は毛描きを隠すと『頼政』(よりまさ)の専用面である頼政によく似ているので、しばしば代用に使われます。

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