文字通り痩せ衰え死相漂う幽霊の面です。生類殺類し、その罪で地獄に落ちた猟師や漁夫が冥途から迷い出てきます。いかにも地獄の阿責に苦しむ憔悴しきった相貌で、全体を黄土彩色にして血の気の失せた顔は幽冥界に落ちた額や頬の筋肉がすっかり取れて、頬骨を突き出し、減り込んだ眼孔と骨と皮の有様で、周囲を朱色にした金環の入った眼球は死霊の凄まじさを意味し、一層地獄の罪人を感じさせます。執心物『善知鳥』(うとう)『阿漕』(あこぎ)『藤戸』(ふじと)『通小町』(かよいこまち)の後ジテに用いられます。

inserted by FC2 system